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2000. 2. 20. / February 20, 2000
運政審答申「東京圏の鉄道整備計画」
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Advisory Committee's future planOn Friday 27 January, Japanese government's Advisory Committee on Transport Policies submitted a report on "Future Plan of Urban Railways of Greater Tokyo Area" to the Minister of Transport. The report is generally regarded as an authorized plan. According to the articles on the newspaper, the summary of the report is as follows:
Railway lines to be completed before FY 2015
Railway lines to be started construction before FY 2015
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No new conceptsUnfortunately, I could not see so many "new concepts" in the report although it is said to be the last one that includes proposals for new lines and extensions.The reasons why I think so are:
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それに加え、 今後の人口動向等を勘案すると今回の答申は 「路線の新設」 が認められる最後の答申になるのではないかとされている。 それなのに答申された内容を眺めてもそのような危機感がまったく感じられない。 新味のない計画、 と高木が思うゆえんである。
新味のなさの背景を挙げるとすれば、
この路線は現在都心から埼玉県との県境に近い赤羽岩淵まで開業しており、 この後浦和美園までが「埼玉高速鉄道」として現在工事中である。 いまどき高速鉄道と銘打つからには、 新幹線とまではいかないにしても、 ある程度まっすぐで高速運転可能な線路を想像したくなる(注)。 だがこの埼玉「高速」鉄道は、 赤羽岩淵を出ると即座にとてつもない急カーブでほぼ直角に曲がるのである。 とてつもない急カーブは、 ここだけでなく鳩ヶ谷市内にも何カ所か存在する。 この上、 全線が地下鉄的な設計であり、 急行運転に適した列車の待避設備等を十分に備えているとも思えない。
(注)……ちなみに、 ここでいう「高速鉄道」とは、 路面電車(低速鉄道)に対する高速鉄道、 英語で rapid transit という概念である。 しかし、 多くの一般乗客はそんなことを知らないだろうし、 都心から数10キロ離れた場所で曲線だらけの競争力のない鉄道を作っておいて、 いまどき路面電車に対して高速であると称されても困るというものだ。東京に近く人口規模もそれなりにあるのに、 鉄道の恩恵を十分受けられずバスに頼る鳩ヶ谷市のような都市にとっては、 埼玉「高速」のような路線が必要だというのは理解できる。 しかし、 これがさらに北の岩槻や蓮田まで接着したとして、 どれほどの意味があるのだろう。 蓮田・大宮・赤羽を直接結ぶJR東北線では、 表定速度60km/hの列車が現実に多数走っている。 そうであれば、 都心直通のためにこの路線を蓮田から乗り通す旅客は多くを期待できないし、 岩槻にしても現在東武野田線で大宮まで出て都心方面へ通勤している乗客が、 岩槻で接着したこの路線に乗換える可能性は必ずしも大きいとはいえそうにない。
こうしてみると、 多くの都心直結タイプの郊外延伸路線については、 地元の要望で「つないでみました」というだけのプランであり、 都心側の受け皿が十分な機能を持っていないものが多いことがわかる。 郊外側延伸はいいが、 都心側ネットワークに十分な受け皿を確保しておく作業が必要なのに、 それがまったく行われないまま延伸だけが進められているのである。
これは、 実は旧国鉄が建設した多くの、 いわゆる赤字ローカル線で見られる現象と似ている。 これらの路線のうちには何10年もの長い時間をかけて建設がすすめられた路線があり、 そういうところでは幹線に近い側の (つまり需要が多い) 区間の建設時期が古いため、 そこが急勾配・急曲線が多く能力の低い線路となっているケースが多い。 ところが、 それの延伸部分として、 勾配・曲線も緩く全立体交差でトンネル・橋梁を多用するとてつもない立派な線路を山中に作っているのである。 当然のことながら、 その路線が廃止対象となればその立派な線路もあっさり打ち捨てられることになる。 廃止対象とならない場合でも、 立派な線路の能力は十分活用できないままとなることが多い。
2015年までに整備開始となれば、 完成するのは2020年とかそれ以降になるのであろう。 となれば、 これらの都市鉄道が赤字ローカル線の轍を踏まない保証はどこにもない。
そういえば、 面白いことに浦和美園から蓮田までの営団南北線(埼玉高速鉄道)延伸部は、 大正時代から昭和初期にかけ存在していた武州鉄道のルートと重なっていたりする。 この鉄道は蓮田と赤羽を結ぶ計画で、 1924(大正13)年に蓮田〜岩槻間が開通、 その後1936(昭和11)年に神根(現在の川口市神根)まで延伸したものの、 資金繰りがつかず1938(昭和13)年に廃止に追い込まれている。 粕壁(現在の春日部)〜大宮間を結ぶ総武鉄道 (現在の東武野田線) の開業で存在意義が薄れてしまったことが原因なのだそうだ。 この延伸プランはまさに 「夢よもう一度」 ということなのだろうが、 歴史が繰り返されないと誰が断言できようか。
どういうわけか、 全体的に今回の答申では、 この種の貨物線旅客化に関してはむしろトーンダウンしてしまっている。 前回答申にはこの他総武線の貨物支線 (越中島・新小岩・金町間) も旅客化すべき貨物線としてリストアップされていたが、 いずれもどこかに行ってしまったようだ。 なぜこれらの計画が放棄されるべきなのか高木には全く理解しがたいことなのだが、 いったいどのような理由によるのだろうか?
武蔵野南線の区間は鉄道貨物輸送が活発な区間であるから、 貨物専用に残しておきたいと考えたのだろうか。 武蔵野線というのは元々山手貨物線に貨物列車が集中したため、 それを緩和すべく計画された迂回路線である。 そうであればこそ、 新鶴見から府中本町まで南武線と平行する線路をわざわざ設け、 貨物専用線路としてあるわけだ。 しかし、 これが理由で前回答申の計画が変更されたというのは少々解せない。 武蔵野南線の貨物列車は、 ほとんどがそのまま府中本町以北の武蔵野線と直通しているのではないかと思うが、 そちらはすでにかなりの本数の電車が同居する線路になっている。 そこで電車と同居が可能で、 武蔵野南線を貨物専用線とするのが合理的とは到底思えない。
今回の答申では、 この縦貫鉄道はこの地区を走る放射状路線の主要駅を結ぶ路線として計画されているようだ。 確かに、 武蔵野南線のルートを地図上で確認すると、 これら主要駅からは少々はずれた場所を経由している。 このことが、 これを旅客線として転用することを諦めた理由かもしれない。
しかし、 環状路線と放射状路線の結節点が主要駅である必要は本当にあるのだろうか?
武蔵野線は貨物線だけあって、 国鉄→JRの主要な放射状路線との間に連絡線が設けてある (東海道線、中央線、東北線、常磐線、京葉線)。 例えば、 中央線の八王子から武蔵野線経由大宮行きなどの臨時列車を出せるのは、 そうした連絡線が完備されているからに他ならない。 そのような連絡線を建設するのに便利だったからだと思うが、 武蔵野線とこれら放射状路線との結節点は主要駅とはいえない場所にある。 これら連絡線を使った旅客列車の直通は現状ではほとんどなく、 旅客が武蔵野線を使おうとすれば西国分寺・南浦和・新松戸など不便な駅での乗換えを余儀なくされている。 だからといって、 武蔵野線を使うかわりに新しい鉄道線を建設する、 というのは大盤振る舞いもいいところなのではないか。
道路整備においては、 主要幹線道路はバイパスなどと呼ばれ、 主要な市街地から離れた場所に建設される傾向が強い。 鉄道では同じような考え方はとられず、 市街地中心に駅があれば無関係なトラフィックもその駅を経由させるような傾向が強い。 東京でも、 既存の郊外(民営)鉄道の線増という位置づけになる相互直通地下鉄線について、 古いケースでは当該民鉄のターミナル駅を通過しない場合がいくつかあり、 場合によってはその民鉄のターミナル駅の地位が低下してしまったり (東武/営団日比谷線と浅草駅など)、 逆に民鉄のターミナル駅のほうが強くてバイパスの役割が十分果たされなかったり (東急/営団日比谷線と渋谷駅、 小田急/営団千代田線と新宿駅など) というようなことがあったので、 現在はわざと既存ターミナル駅を通過させるようにしているようだ (京王/都営新宿線と新宿駅、 東武・西武/営団有楽町線と池袋駅など)。 そのことから考えると、 確かに主要駅を直接結ぶ路線の方がそのような意味では便利に思える。
しかし、 今後は旅客への案内情報などもきめ細かく出せるだろうし、 列車群制御の技術も向上して列車の運転系統を複雑化させることも容易になろう。 そうだとすれば、 乗降に加え乗換え等で混雑する大規模なターミナル駅よりは、 武蔵野線のように直通運転可能な連絡線を持ったバイパス路線の価値が高まることになるのではないか。
今回関係者が 「画期的」 と称する提案が、 東京駅止りとなっている京葉線の都心接続部 (東京〜新木場) を中央線の三鷹まで延伸し、 中央線のバイパスとして機能させようというものである。 今回の答申ではこの他に船橋付近で京葉線と総武線とを接続する新線の提案もなされている。 これは、 千葉市の海浜幕張から稲毛駅付近を結ぶ要望を県が要望していたのに対し、 審議会でこのルートに変更されたものらしい。 こうしたものが全部実現すれば、 京葉間の連絡鉄道のなかでの地位が総武線主体から京葉線主体に変化することになるのだろう。
しかし、 以上の計画のうち実現が待望されるのは東京から中央線方面への延伸のみ。 他の計画は、 そうまでして京葉線を強化する意味がどれほどあるのか疑問に思われることばかりだ。
まず、 新木場から西船橋までの複々線化の必要性がないとまではいえないが、 現在京葉線の北隣を走る営団東西線を放置してやることではない。 営団東西線は 「東葉高速鉄道」 として西船橋から先の延伸が実現したが、 東葉高速鉄道は高運賃が災いして乗客数が伸び悩んでいる。 しかし、 東西線はそれで相当救われているはずなのだ。 1969年に東陽町・西船橋間を一気に開業した当時、 東西線のこの沿線には人家もまばらだった。 20年で状況は一変し、 現在朝の通勤時間帯にはこの区間をサービスする各駅停車の需要が大きく、 快速電車の速度低下が顕著となっている。 この上東葉高速鉄道から大量の乗客が流れ込む事態となれば、 東西線の破綻はほとんど目に見えている。 それに比べれば京葉線の状況ははるかに問題が少ない。
一方、 京葉都心線の中央線延伸が実現した暁には、 総武線から京葉線東京駅への接続ルートが是非必要ということになろう。 しかし、 その接続を現在の船橋付近のルートでやるのは無駄が多いと高木は考えている。 そこで浮上するのが前記の貨物線ルートなのだ。
新小岩から亀戸付近まで、 総武線は緩行線、快速線、および貨物の3複線の施設となっている (実際には貨物は非電化単線だが複線化用地は取得ずみらしい)。 亀戸付近で分岐した貨物線はカーブを描いて南下し、 小名木川貨物駅(確か最近廃止された)を経由して越中島に至る。 この越中島貨物駅のすぐわきを、 まるで 「つなげてください」 といわんばかりに京葉都心線が通過しているのだ!
この貨物線にはまだいいことがある。 新小岩から逆に金町方面への接続線(俗にいう新金線)が残っており (電化単線。こちらも複線化用地は取得ずみらしい)、 これを使えば常磐線方面から松戸・金町・新小岩を経由して京葉線東京駅に、 そしてさらに新宿駅に至るルートが確保できることになるのである。 しかも、 これらの路線の貨物列車は武蔵野線よりはるかに少ない。
小名木川の貨物線は非電化だし、 新金線も国道6号水戸街道などと平面交差しているので、 立体化などが必要だから転活用は簡単ではなさそうだが、 この種の事業が用地取得でいつも困難に直面していることを考えれば、 これらを使わない法はないと思う。 これだけの好条件があるのになぜ答申で着手路線から外れているのか不思議としかいいようがないが、 その理由も武蔵野南線と同じく、 貨物線だけに途中駅をつくりにくい場所を走っていることに求めることができそうである。
確かに浅草線その他は標準軌、 JRは狭軌であるからということなのだろう。 鉄道総研そのほかが開発中の 「軌間可変電車」 を 「フリーゲージトレイン」 などと呼び習わしているため、 一部に相当な誤解を生じつつあるようだが、 こうした電車をもってしても軌間の違いというのはそう容易に乗り越えられるものではない。 しかし、 こうした電車に頼らず3線ないし4線軌道等を敷設する手だってあるわけで、 これは他地区の状況からしてあまりに過剰な投資と言わざるを得ない。
路線網をみると、 東西線の東陽町〜門前仲町のすぐ北では半蔵門線が工事中である。 となれば、 西船橋から東陽町までの複々線の線増分はこれにつなげるのがいちばんすなおなやり方ということになりそうだったのだが、 こちらは驚いたことに東陽町駅付近から北上し、 東武鉄道と押上で接着することになってしまった。 ただし、 北千住から半蔵門線経由で都心方面を結ぶ東武の新ルートは、 正直なところあまり多くの乗客を集められそうな気がしない。 それにこの東陽町付近には、 豊洲からの営団有楽町線や、 既存の京葉線(越中島駅)、 そして総武貨物線などがある。 東西線線増ということであれば、 こうした多彩な路線を使って都心へのアプローチが可能になろう。
この場合、 運営主体が違うと運賃の併算などいろいろな問題が生じるが、 このような問題についていいかげん脱却しないとまずいと思われる。 東西線ではなく京葉線の複々線化となっているのも、 基本的にはこの問題を逃げるためだろう。 しかし、 別に京葉線東京駅を出たJRの特急列車が、 営団東西線の複々線区間を経由して西船橋からJR総武線に乗り入れて房総方面をサービスしても悪いことはない。 21世紀の後半まで、 日本はこのようなくだらない問題をひきずるつもりなのだろうか?
京葉線・総武線接続新線を京葉線複々線化という目で眺めると、 なぜ営団東西線を差し置いてこちらを複々線化するのだろうと思うが、 京葉線と総武線を接続するだけとみると、 西船橋という接続点の選定など含めなかなか斬新なアイディアである。
ご存知の通り、 京葉線は現在は東京のもと都庁裏の道路下に4線のかなり規模の大きなターミナルを持ち、 そこから湾岸地区に出て、 新木場を経由して蘇我に至る路線となっている。 元々のプロジェクトは東京湾岸をめぐる貨物線であったが、 国鉄時代末期に旅客線に変更、 さらに新木場〜東京間の都心接続線が追加されて現在の形になったというわけだ。 新木場から分岐する東京臨海高速鉄道の第1期開業区間は、 この当初プロジェクトの名残であり、 京葉線蘇我方面との相互直通運転が可能だ。 このほか、 京葉線は武蔵野線ともつながっており、 東京方・千葉方のどちらも全立体交差での相互直通が可能となっている。
しかし、 総武線との関係でいうと京葉線の経由地はあまり便利でないところが多く、 特に現在京葉線経由となっている列車は県庁所在地の千葉駅を通らず、 乗客の不満が強いようだ。 そこで、 千葉から都心よりでは京葉ルートを通るものの、 千葉地区では総武ルートを通りたい、 という要望が出てくるのは自然なことであったと思う。
このように、 要所要所に連絡線を設けることによる改善効果は、 場合によっては非常に大きなものを期待できる。
また、 現在東京止りとなっている京葉線を、 東京から中央線方面へ西に延伸する提案もなされており、 完成すれば都心を貫く一大幹線ができることになる。
発表された計画によれば、 この新線は駅数をあまり多くせず、 四谷・新宿程度にとどめるとのことである。 この種の都心部新線は多くの場合地下深くに建設されることが多いため、 駅数を多くしても便利ではないし、 なにより駅部の建設費が非常に大きくなってしまう。 個人的には駅は東京と新宿だけでよく、 四谷も不要ではないかと思っている。 また、 この路線上に新設される駅は、 せめて現在の東京駅並みに4線程度はある規模の大きな駅にしないと、 新線の輸送力に大きな制約になってしまうだろうから注意を要する。
Stations should be reducedThe basic problem in this report is that there are too many installation of stations in this plan. Stations are vital for railways because otherwise it can never provide service; however, too many stations cause degradation of service (e.g. trains becoming slower because of increased stops). Emerging of LRT and the advance in information and communication technologies now enable us to reorganize the plan. We can even reduce stations along the main railway lines while increasing LRT stops and lines around. Complexity of network can be solved by software-based technologies, which is discussed in the name of IPASS in the different pages. |
駅がなければサービスの提供ができない宿命がある鉄道だが、 駅がありすぎれば本来高速なサービスができる能力があってもそれを生かすことができない。 京浜急行線の品川・横浜間など見ていれば一目瞭然だろう。 それに、 鉄道の駅というのはバスや路面電車の停留所とは違うから、 数が多いからといって気軽に使えるものには必ずしもならないのである。 地下10メートルより深いような場所を地下鉄が走っていて、 1kmを下回る駅間隔であるような場合、 ある駅から隣の駅まで地下鉄に乗るよりは歩いてしまう、 という健康な人が多いことが象徴的である。
加えて、 新規路線を建設しようとする場合、 駅の建設コストが全体に占める割合はどんどん大きくなっている。 特に、 せっかく土地買収の必要のない大深度地下を使ったとしても、 駅をたくさん用意しなければならないとなればその価値は半減以下になってしまうだろう。 大深度地下を鉄道用に使うなら、 なるべく深い場所には駅を作らず、 直線の線路で高速走行させたいものである。
従って、 駅を作らなくても利便性が失われないような鉄道システムのあり方を考えることが重要となる。 そのためのキーワードが、 いわゆるLRT、 および情報技術で武装したシステムということになるのではないか。
首都圏のような場所では、 路面電車に類するものが都市の基軸交通となることはあり得ない。 しかし、 幹線鉄道を補完する形での適用はいくらも可能である。 例えば、 横浜環状鉄道などはLRTとしての整備が適当なのではないかと思うし、 南北線延伸部 (埼玉高速鉄道の浦和以北) などもLRTでいいのではないか。
埼玉高速鉄道の浦和以北延伸のようなプロジェクトが出てくるのは、 こんなにいい加減な鉄道であっても、 東京直通路線として延伸され、 駅ができるということなら、 そのメリットが非常に大きいからであろう。 このメリットをより安い費用で代替できれば問題はないと思うが、 その有力な手段が 「LRTで路線網をつくり、 既存の高速鉄道に乗り入れる」 という方式である。
こうすることによって、 鉄道線を延伸する場合より高密度な停留所ネットワークが形成される。 鉄道線を建設する場合なら、 駅の間隔を伸ばし、 そのかわりLRT網を地域に設けることにより、 高速性と地域に密着した利便性を両立させることが可能になろうし、 高規格バイパス鉄道新線と地域LRT網の組合わせによって道路整備のマネをすることもできる。
首都圏のような場所であれば、 LRTも決して高級なものである必要はない。 日本ではLRTは併用軌道であっても 「専用の車線」 を占有することが強く求められているようだが、 場合によっては2車線道路で完全に車との混合交通の中を走る、 ということがあってもよいだろう。 最終的には一般の鉄道に乗り入れて走るものだからである。
ただし、 一般の鉄道と相互に直通可能な車両とするためには、 性能が従来のLRTのような低性能では困るはずだ。 海外のLRV(LRT用車両…Light Rail Vehicle)は国内のものよりは性能が高いが、 それでも最高80km/hといったあたりが相場らしいので、 こうした目的に使おうとするならさらに1段の性能向上が必要である。
発展著しい情報通信技術を駆使した鉄道システムとして、 「RTざんまい」内の別なページで 「IPASSコンセプト」 について論じている。 高木はこのようなシステムにこそ鉄道の未来はあるし、 それ以外に鉄道の未来はあり得ないと考えている。 しかし、 鉄道整備がこのようなシステムを前提にせずに進められれば、 こうしたシステムを生かす手だても少なくならざるを得ない。
こうした技術がなかった時代の整備計画から、 時代の先を見据えた整備計画へ、 計画自体の練り直しを行う時期にいま我々はさしかかっているのではないだろうか。