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最終更新 2001. 9. 4.
Last modified: 4 September 2001

営団地下鉄・中目黒駅事故
Accident at Nakameguro Sta., Teito Rapid Transit Authority

The contents here is replaced with the simplified Q and A list shown below.
「質問とその答え」 (Q&A) の形式で、 この事故に関する高木の考え方をまとめました。

過去にいろいろ記事を書いたのですが、 その時点からは考え方が変わっている部分もあります。 また、 読者の方から誤りをご指摘頂いたり、 こちらで誤りを見つけたりいろいろしました。 そこで、 その部分は書き換えたり、 単に捨ててしまったりしてあります。


  1. このページについて / About this page
    1. Q. このページのニュースソースは?
      What is the news source of this page?
        A. 新聞・雑誌等の報道など、 一般的に得られる知識のみに頼っている。
        It relies on publically available sources only (newspaper articles, reports on magazines, etc.).


  2. 事故の原因に関する見方 / Views on the cause of the accident
    1. Q. 測定された日比谷線03系電車の輪重比のばらつきはどこから来た?
      Why is there the imbalance of the wheel load of series 03 emus running on the Hibiya Line, which is measured by the investigation committee ?
        A. 「新造時からある」「経年劣化」のふたつの可能性。
        Can be both "since the car is manufactured" and "caused by ageing".

        高木の立場としては、 静止輪重の測定データを見る限り1車軸だけ極端に他より 「外れている」 といった現象が見られないことから、 後者「経年劣化」と予測。

    2. Q. それは従来の電車と比べて大きい?
      Is the imbalance larger than older types of trainsets?
        A. 「大きい」「それほどでもない」のふたつの可能性。
        Can be both "larger" and "not so".

        高木の立場としては、 質問B.1.の答えを「経年劣化」と予測したこと、 および軸箱支持装置が旧3000系でも実績のあるものであることから、 後者「それほどでもない」と予測。

    3. Q. 事故の原因に関する見方は?
      What is your view on the cause?
        A. ボルスタレス台車の脱線しやすさのため、 従来なら問題にならない程度の輪重アンバランスで脱線が起きた。
        Because bolsterless bogies can easily derail, the higher level of wheel load imbalance which caused no problem in the older types of bogies caused the accident.

        質問 B.1.およびB.2.より、 以上のように考えている。 ボルスタレス台車は曲線で回転するが、 その際まくらバネの復元力が働き脱線しやすくなることが、 原因の主要な部分をなすと考えられる。
        他にどのような要素が絡んでいるかはまだ不明だが、 当初高木が疑った電気系 (推進機構/運転操作) がからむ要素は少なさそう。 現場が脱線しやすい線形だったという線路側の要因はある。 しかし線路の狂い等は無関係と見ている。

    4. Q. 事故の再発防止対策に関する見方は?
      What is your view on the possible countermeasures?
        A. 輪重アンバランスの管理強化、 および前後方向のバネ復元力低下とヨーダンパの追加。
        More strict maintenance of wheel load balance, plus the decrease of stiffness of the air spring in the horizontal (longitudinal) direction and addition of the anti-yaw-dampers.


  3. 護輪軌条問題 / Views on the guard rail issues
    1. Q. 護輪軌条の設置基準が甘かったことが事故の遠因として指摘されている。 これに対する見解は?
      TRTA set a standard on the installation of guard rails which is accused as unsafe. What is your view on the problem?
        A. 設置基準の曲線半径R140以下で甘かったとはいえない。
        Their standard to install guard rails on sections with radius smaller than 140 metres cannot be accused as unsafe.

        過去にほとんど脱線事故を起こしていないという実績を評価すればそうなる。 それに、 護輪軌条で脱線の結果生じるすべての事故を防げるわけではない。 護輪軌条自体がものの 「つまり」 等による脱線の原因となるのを恐れた事例もある。 過去にあった脱線事故の結果大幅に設置基準を強化した東急との比較が話題になるが、 設置基準を強化しなければならないほど危険な車両を平然と使用する、 という意味で安全性軽視と批判することも可能。 この種のものがあると機械化保守がやりにくいというようなことから、 軌道保守のレベル低下による事故等も懸念される。 要するにシステムとして安全をどう考えるかの問題である。 問題は車両側にあるなら対策も車両側でやるべきだ、 というのが高木の考え方。
        ただし、 03系電車が不明の原因により脱線に弱いことを、 事前に関係者が察知していたならば話は別である。

    2. Q. 現場に護輪軌条の設置がなされていたら、 今回の事故は防げたか?
      If guard rails are installed on the section where the accident occured, would the disaster be prevented?
        A. おそらくは。
        Maybe.

        筆者は従来の記事では脱線防止ガード (レールの内方80ミリ程度の場所に設置) と磨耗防止レールとを混同して考えていたようである。 関係者に深くお詫びする。 脱線防止ガードであれば脱線しなかった可能性もある。
        ただ、 脱線しようとする列車の振る舞いというのは必ずしも予想できるものではないから、 100%絶対と言いきれるものでもない。 乗越しポイントで反対軌条側に押し出されたとされるため、 乗越しポイントを取り外さなければここで何かが起きる可能性もある。

    3. Q. 事故後護輪軌条の設置がなされたが、 これは必要か?
      Guard rails were installed on the section after the accident. Was it necessary?
        A. 日比谷線に関しては、そう思う。
        Yes for the Hibiya Line.

        事故原因がはっきりするまでは必要。
        事故原因が車両側にあることがはっきりし、 対策の有効性が実績として確認できれば、 護輪軌条の設置基準をもとに戻してもよいはず。
        全国的なレベルにまで広める必要があったかどうかは疑問も多い。 今回の走行実験のような調査を全国的にやる (走行実験が大変なら、 お金をかけてシミュレーションツールの充実をはかる) のが先ではないか。

  4. この他の技術的な問題 / Views on the other technical issues
    1. Q. 関係者が03系電車が脱線しやすいと事前に察知することは可能だったか?
      Was it possible for the people in charge to understand that the series 03 emus are weak to derailment?
        A. 困難だったと思われる。
        I think it difficult.

        これはとりあえずこう高木が仮定したということで、 今後明らかにされるべき問題である。 しかし、 例えば東急の電車脱線事故を自分のところの車両の問題に結びつけて考えることは、 無理だったと思われる。

    2. Q. しかし、 事故は護輪軌条設置基準の非常に厳しい東急からの直通運転が行われる路線で起きたが?
      However, the accident occured on the line that accepts trains that runs through from the Tokyu Line with a more strict guard rail installation standard.
        A. インターオペラビリティ欠如のひとつの反映といえる。
        It is one reflection of the lack of interoperability.

        東急の脱線事故の情報 (事故原因、対策の考え方等) がどのように会社間で伝達されたかわからないため、 高木としては質問D.1.の答えを覆す材料とはならない。 典型的な鉄道業界のインターオペラビリティ欠如の事例といえる。
        東急脱線事故のケースでは原因の検討が密室で行われたようで、 脱線事故の専門家のところにも原因等の情報がとどいてないようだ。 東急が設置をした段階で日比谷線にも置くべきだった、 というのは説得力のある主張で、 運輸省経由でそのような情報が伝えられるべきであった (あるいは、 運輸省が情報を伝えたのだったら、 営団は無視すべきではなかった) のだろう。

    3. Q. 車両の軽量化と事故との因果関係に関する見解は?
      What is your view on the relationship between the reduction of weight of the railcars and the accident?
        A. 無関係とはいえないが、考慮の上設計すれば問題ないはず。
        I cannot say they are irrelevant; however, there should be no problem if enough consideration is done on the design stage.


  5. 報道に関する問題 / Views on the press reports
    1. Q. 報道において何が問題だったと考えるか?
      What do you think is undesirable in the press reports on this accident?
        A. 多すぎる技術的な誤り。特に繰り返される過密ダイヤ批判。
        Too many technical errors. Especially, the repeated criticisms on overcrowdedness of the train schedule is something completely misleading.

        まあ自分でも間違っているから人のことはあまりいえない。

  6. 事故調査等の体制に関する問題 / Views on the systems for investigation etc.
    1. Q. 事故調査検討会の活動に関する見解は?
      What is your view on the activities of investigation committee?
        A. 法的根拠を持った常設組織でありたい。 また、 システムにおいて遺族のケアという視点が欠落している。 しかし、 今回は事故の特異性もあり順調な成果を挙げていると言える。
        It should be an organization with stronger legal background. Also, the system lacks the viewpoint of "the care for the bereaved families". However, this time the committee is making a great achievement thanks to the speciality of the accident.


  7. リンク / Links

高木 亮 / TAKAGI, Ryo webmaster@takagi-ryo.ac
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