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最終更新 2005. 01. 02.
Last updated: 02 January 2005
2001. 1. 28. / January 28, 2001

リニアは21世紀を拓く?
JR Maglev Heralds 21th Century?

参考文献リスト
Reference List

  1. 「リニア中央新幹線が21世紀を拓く」, The 21, 2000年6月特別増刊号, PHP研究所 (2000)
    "JR Maglev Chuo Shinkansen Will Herald the 21st Century" (in Japanese), The 21, Special Issue June 2000, PHP Institute (2000)
  2. 「バブルの幻? 実用化いつ? 夢あせるリニア」, 朝日新聞, 40896, 33面 (2000年1月18日)
    "Ghost of the Bubble? When to Start Service? Fading Dream of JR Maglev" (in Japanese), Asahi Shimbun, 40896, p. 33 (18 Jan 2000)

The Maglev is a "revolutionary" technology, while the Shinkansen system that rely on wheels and rails is an "evolutionary" technology. It is difficult to say whether the future of this revolutionary technology is bright or not. However, one thing is certain; Japan always underestimates the power of big systems like Shinkansen, which cost so much initially but bring us much benefits afterwards. We definitely need a new Shinkansen; it is only a matter of choice from the two technologies with or without the initial "r".
中央リニア関連で、 昨年入手したものの部屋に放ってあった文献を2つ見つけた。

The 21 という雑誌は、 かなり前からリニア推進を主張している雑誌である。 この号の執筆に携わった関係者が、 何年か前にもやはり The 21 で 「リニアが日本を変える」 といった主張をしているのを読んだことがある。 一方、 朝日新聞はいつものとおりの論調である。 採算性、 技術的困難性などを挙げ、 さらにバブル崩壊で資金的な余裕がなくなったことなどから、 リニアは夢と消えるのではないか、 というような主張である。

こういうふたつの記事を見比べて、 安っぽい評論をするとなると、 「さあ、 どっちが本当でしょう?」 といったところだろうか。

少なくとも、 今後しばらくの間は、 リニアが事業化に向けて動き出す雰囲気ではないと見られる。 また、 着実な技術開発にもかかわらず、 技術的な困難性は確かに存在している。 コストダウンも求められる課題の一つであろう。 海外の交通関係者の間にも否定的な見方が多いことは事実だ。

リニアの場合は、 新幹線対在来線とは違う要素がある。 ベースになる技術があまりに違いすぎるからだ。 リニアのような技術は、 よく "revolutionary technology" (革命的技術)、 という言い方をされる。 一方、 新幹線は在来線の技術の通常進化であり、 revolutionary から r をとって "evolutionary technology" (進化を遂げる技術) といわれる。 現実の世界では、 revolutionary technology が evolutionary technology に負けてしまう、 ということが、 実はかなり多いのである。 「リニア」 対 「鉄車輪・鉄レール鉄道」 という視点で比較したとき、 高木としては現時点でどちらに優位をつけてよいのかわからない。

しかし、 はじめての新幹線を建設したときも同じように否定的な見方が多かったことは、 忘れない方がいい。

ちょうど昨日東京地方にも雪が降ったが、 ことし初めには山形新幹線が大雪で何度も運休して混乱し、 在来線の線路を改軌して使うだけの 「ミニ新幹線」 の弱さを露呈する形になった。 敗戦から20年を経ずして、 東海道新幹線のような立派なインフラを作る決断の見事さとはあまりに対照的だ。

revolutionary な技術か、 evolutionary な技術かは、 別に議論する必要がある。 しかし、 中央新幹線が日本にとって必要だ、 ということは、 動かしがたい事実なのである。


高木 亮 / TAKAGI, Ryo webmaster@takagi-ryo.ac
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