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B'ham 観光案内
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ページ執筆 2003. 5. 19
最終更新 2003. 6. 5

バーミンガムとその周辺の観光案内

5月17日にバーミンガムで開催した 「JRGS交流会」に関連して、 出席者に送付したバーミンガム観光案内の電子メールをもとに、 こんなページを作ってみました。 ちょうどバーミンガムは European Capital of Culture に立候補している最中で、 ここに掲げた観光スポットのいくつかもその "Be in Birmingham 2008" キャンペーンの宣伝用パンフレットに掲載されています。 バーミンガムに来るといいですけれど。

追記 2003. 6. 4.: やっぱりだめでした。

バーミンガムまでの交通、地域内の交通

ロンドンからバーミンガムまで行く場合について説明する。

鉄道のばあい、 ユーストン (Euston) 駅からのヴァージン・トレインズ (Virgin Trains) がふつう第一選択である。 ただし、 土曜日・日曜日はよく迂回運転などしているので注意が必要。 ヴァージンの切符は事前購入が非常に安く、 最低でも乗車の3日前の購入がお勧めである。

トラブルを避けたい場合、 マリルボーン駅からのチルターン鉄道 (Chiltern Railways) をお勧めする。 切符は事前購入の場合のヴァージンより少し高くなるが (ピーク時運賃に比べれば安い)、 クラブマン (Clubman) と愛称される車両は特に快適。 クラブマンにあたるかどうかは、 同社ウェブサイトからダウンロード可能な時刻表に書いてある (運用変更で違う車両にあたることももちろんあるが)。

鉄道の所要時間は、どの鉄道についても2時間前後。

長距離バス(Coach)の場合、 ヴィクトリア駅ふきんにあるヴィクトリア・コーチ・ステーション (Victoria Coach Station) から、 バーミンガム・ムーア・ストリート駅から徒歩数分のところにある ディグベス・コーチ・ステーション (Digbeth Coach Station) までの利用となる。 所要時間は3時間程度。

自動車の場合、 ロンドンからバーミンガムまではM40の利用がお勧めだ。 M1から分岐するM6もあるが、 慢性的に混雑している (有料のバイパスがバーミンガムの北方に建設中であるが)。 なお、 M6 のジャンクション 6 (Junction 6) はスパゲティ・ジャンクション (Spaghetti Junction) として何だか有名なので、 いちど通ってみるのも悪くないかも知れない。 もっとも、 日本の高速道路のジャンクションの複雑さと比べると、 別に大したこともない気がする……

地域内はバスが便利である。 トラヴェル・ウェスト・ミッドランズ (Travel West Midlands) という会社がほとんどのエリアをカバーしており、 この会社の発行する一日乗車券デイセーヴァー (Daysaver, GBP2.50) の購入がおすすめ。 後述のジュエリー・クォーター (Jewellery Quarter) にゆくならミッドランド・メトロ (Midland Metro) が便利なので、 バスに加えてこのライトレール列車にも乗車可能なメトロ・バス・デイ・ティケット (Metro/Bus Day Ticket, GBP 3.50) がよい。 どちらもバスの車内で買える。 バスに関しては、 トラヴェル・ウェスト・ミッドランズ以外の会社の運行するものには乗車できないことに注意。 他の会社のバス、 あるいは鉄道線にも乗るのであれば、 デイトリッパー (Daytripper, GBP4.00) をバス車内か駅で購入すると、 ウェスト・ミッドランズ内の鉄道・バスすべてに (バスに関しては会社を問わず) 乗車できる。

なお、 ウェスト・ミッドランズの公共交通についてはセントロ (Centro) のページも参考になる。 セントロとはウェスト・ミッドランズ旅客交通委員会 (WMPTE, West Midlands Passenger Transport Executive) の愛称で、 ウェスト・ミッドランズ旅客交通局 (WMPTA, West Midlands Passenger Transport Authority) の政策的および財政的支援のもと公共交通のサポートを行っている。

博物館・美術館めぐり

バーミンガム市中心部 (シティ・センター city centre) には、 けっこう立派な博物館やら美術館やらがある。 街の中心、ヴィクトリア・スクウェア (Victoria Square) に建物が面している (正確には裏側に隣接している) バーミンガム・ミュージアム・アンド・アート・ギャラリー (Birmingham Museum and Art Gallery, BM&AG) や、 ブロード・ストリート (Broad Street) ぞいにあるイコン・ギャラリー (Ikon Gallery) は確か無料。 BM&AG には絵画だけでなくバーミンガムそのものに関する展示もある。 バーミンガム大学の構内にあるバーバー・インスティテュート・オヴ・ファイン・アーツ (Barber Institute of Fine Arts) も無料で、 けっこういいコレクションを持っている。 変わったところでは、 シティ・センター東側の再開発地区にある科学技術博物館、 シンクタンク・アット・ミレニアム・ポイント (Thinktank at Millenium Point) も面白いかも知れない。

シティ・センターから北西の方角にあるのが、 宝飾関連の工場等が集まるジュエリー・クォーター (Jewellery Quarter)。 バーミンガムは a town of a thousand trades といわれるが、 その由来はさまざまな種類の手工業者が集まってきたところからであるとされる。 そのひとつがこの宝飾品製造で、 この種のものとしてはヨーロッパ最大を誇るという。 そして、 ここにも博物館ミュージアム・オヴ・ザ・ジュエリー・クォーター (Museum of the Jewellery Quarter) がある。

近郊に足を伸ばせれば、 ダドリー (Dudley) にあるブラック・カントリー・リヴィング・ミュージアム (Black Country Living Museum) もおすすめスポットである。 ダドリーは産業革命期、 製鉄など重工業の中心地であった。 ダドリーやウォルソール (Walsall) などを含め、 バーミンガムの北西の地域のことをブラック・カントリー (Black Country) と呼ぶが、 この呼び名は当時の工場のケムリの黒さから来ている、 という説がある (この地域では地面が黒いから、という説もある)。 この博物館はかなりの広さにわたるから、 一日ゆっくり楽しむことができる。 ただし費用はかなりかかることを覚悟する必要がある。

市内で遊ぶ

シティ・センターにはあまりりっぱな建物がない。 1964年に、旧ブル・リング・センターの一連の開発の過程で建設されたビル群のひとつである 「ロータンダ」 (Rotunda, 「円筒形の建物」を意味する)も、 別に上層階に展望室があるとかいうお遊びはないらしい。 市内はあちこち再開発工事中で、 特にできかけている新しいブル・リング・センター (工事現場の写真はこちら……ただしだいぶ古いもので建物はほとんど立ち上がっていない) などが、 建物見物の趣味がある方にはお勧めかも知れない。 街の中心にあるカテドラル (St. Phillip's Cathedral) は大規模な建物ではなく、 周辺の街……例えばウスター (Worcester) のりっぱなのとくらべ、 明らかに見劣りする。

なお、 シティ・センター再開発の目玉のひとつが、 ライト・レールのミッドランド・メトロを路面に乗り入れさせ、 都心部へ延伸するプロジェクトであるらしい。 いよいよこの工事のための手続きが開始されたようで、 土曜日に図書館にいくと延伸予定ルートなどの関係文書等を閲覧できるそうだ。 おそらく、 今年おわりまでにはコーポレーション・ストリートなどで工事が着手されるのではないか。 しかし、 これがかりにできても路線網的にはマンチェスター・メトロリンク (Manchester Metrolink) の足元にも及ばないのだが。

運河沿いを歩くのは水辺の気持ちよさがある。 1990年代の再開発できれいになり、 とくにブリンドリープレイス (Brindleyplace) 周辺観光の中心スポットになりつつある。 ブリティッシュ・ウォーターウェイズも、 多くの運河網を擁するバーミンガムを 「キャナル・シティ」(Canal City) として持ち上げている。 しかし、 シティ・センターの運河にはウェールズのポントカサルテ水路橋 (Pontcysyllte Aqueduct) のようなりっぱな (異様な、ともいう) 構造物はあまり見あたらない。 よくみると水路橋、 というような場所 (ホリデイ・ストリート水路橋 Holliday Street Aqueduct) も、 ないことはないのだが……。 「驚くべき運河の構造物」 がご所望な方は、 ブラック・カントリー・リヴィング・ミュージアムに出向いてダドリー・トンネル・ツアーに参加するか、 バーミンガム・ニュー・ストリート (Birmingham New Street) 駅かバーミンガム・スノー・ヒル (Birmingham Snow Hill) 駅からスメジック・ゴルトン・ブリッジ (Smethwick Galton Bridge) 駅まで列車で出て、 運河沿いを散策し、 トーマス・テルフォード (Thomas Telford) の設計した鋳鉄アーチの道路橋ゴルトン・ブリッジ (Galton Bridge) や、 中小水路橋としては英国一美しいといわれるエンジン・アーム水路橋 (Engine Arm Aqueduct) などをみることをお勧めしたい。 静かに日曜日の午後を過ごしたい、 という向きには、 運河の水位を安定させるために設けられたエッジバストン貯水池 (Edgbaston Reservoir) などもお勧めである。

エンジン・アーム水路橋
エンジン・アーム水路橋(2002年6月8日撮影)

バーミンガム大学自体も、 英国ではわりと珍しいキャンパス空間を持っており、 例の屋根のない2階バスが来る観光名所であるらしい。 1901年の現キャンパス建設当時の著名な建築家、 サー・アストン・ウェッブ (Sir Aston Webb) 設計の建物が注目点であるようだ。

お買い物を楽しみたい方もおられることと思う。 バーミンガムのシティ・センターは、 かなり広範囲にわたって事実上歩行者専用空間となっており、 クルマを気にせずショッピングが楽しめる。 しかし、 大きなデパートのようなものがあまりなく、 不便することもある。 日本のものはシティ・センター南端に位置する中華街 (Chinese Quarter)、 あるいはシティ・センターから離れたネッチェルズ (Nechells) 地区にある営業行 (ウィング・イップ Wing Yip Superstore) に若干あるものの、 ロンドンのジャパンセンターなどの品揃えには当然遠く及ばない。 少し足を伸ばすと、 例えばダドリーの工場跡地にできたメリー・ヒル・ショッピング・センター (Merry Hill Shopping Centre) など大規模で僕はとても好きなのだが、 別にバーミンガムに来たら必見というものではないようにも思われる。

お食事はやはりバルティにとどめをさすだろう。 バーミンガム生まれのインド(パキスタン?)風料理、といわれる。 日本のラーメンみたいなものといっていいだろうか。 市の東部、 スパークヒル (Sparkhill)、 スパークブルック (Sparkbrook)、 ボルソール・ヒース (Balsall Heath)、 モーズリー (Moseley) の各地区を総称してバルティ・ベルト (balti belt) と呼ぶ、 とものの本にあり、 この辺に英国で最古かつ最良のバルティ・レストランがあるのだそうだ。 大学付近、 セリー・オーク (Selly Oak) のブリストル・ロード (Bristol Road) 沿いにもお店が並んでいて、 学生向けに商売している(当然安い)。

時間があれば、 シンフォニー・ホールがシティ・センターにあるし、 お芝居などもいくつかのシアターで楽しむことができる。

近郊に足を伸ばす

バーミンガム大学からそれほど遠くないところに、 ボーンヴィル (Bournville) という場所があって、 そこにチョコレートの老舗キャドベリー (Cadbury) の工場がある (というか、 キャドベリーがフランスのチョコレートに対抗したくて、 近所にあった小川ボーン・ブルック Bourn Brook の名前にフランス風のヴィル ville をくっつけて商品名& 地名にした)。 キャドベリー・ワールド (Cadbury World) というツアーになっていて、 お子様に人気(?)だそうだ。 キャドベリーが労働者のために開発したとかいう周囲の美しい街並みとあわせて楽しめる。

ストラトフォード・アポン・エイヴォン (Stratford-upon-Avon) はウェスト・ミッドランズ地域ではもっとも touristy な (「観光地化された」というほどの意味) 観光地だろう。 バーミンガム市中心部からは列車で約1時間ほど。 なお、 夏にはヴィンテージ・トレインズ (Vintage Trains) という運行会社により、 バーミンガム・スノー・ヒル駅からシェークスピア・エクスプレス (Shakespeare Express) という蒸機列車が毎週日曜日に本線走行する(7・8月運行)。

鉄道好きの方には、 近郊の街キダミンスター (Kidderminster) を起点にセヴァーン川沿いに走る英国最大の蒸機保存鉄道、 セヴァーン・ヴァリー鉄道 (Severn Valley Railway) がイチ押しだろう。 だが、 遠くまでいかなくとも、 バーミンガム・ニュー・ストリート駅それ自体がけっこう見ものであるような気もする。 12番線まであるプラットホームだけでは足りないため、 ホームを2分割使用しており、 ときおり日本の鉄道関係者としては恐ろしくなるような光景も目にすることができる。 ただし、 このようなホーム使用方で大きな事故が過去に起きたというわけでは必ずしもない。 このほか、 バーミンガム・インターナショナル駅とバーミンガム空港ターミナルの間に、 この国では珍しい monorail が最近走り出した (ロープ駆動のシステム。 日本でいうモノレールとは違うが、 英語ではこの種のものを総称して monorail と呼んでいるようだ)。 1990年代なかごろまで、 有名だった磁気浮上ピープルムーバが使っていた桁を再利用している。 無料なので話のたねにどうぞ。

アイアンブリッジ渓谷 (Ironbridge Gorge) は世界最古の鋳鉄アーチ橋 (1779年開通) を中心にした観光地である。 周囲はもともとコールブルックデール (Coalbrookdale) と呼ばれていた。 産業革命の発祥の地として、 コークスを使った近代製鉄が山あいの地で大々的に行われていたらしい。 バーミンガムから西に約30マイルほどいったところである。 たくさんの博物館があるが、 点在しているため自動車が必須だろう。

ウェッジウッド (Wedgwood) の工場があるストーク・オン・トレント (Stoke-on-Trent) もわりあい近い。 また、世界最初の鉄道町クルー (Crewe) も(ここにも鉄道博物館がある)。

このほか、 詳しくは述べないが、 まわりの街も魅力的である。 第2次大戦中ドイツ軍に爆撃されて多くの死者が出たことで知られるコヴェントリ (Coventry)、 すごく入場料の高いお城があるウォリック (Warwick) ウスターソースで名前だけはおなじみのウスター (Worcester) など。


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高木 亮 webmaster@takagi-ryo.ac
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