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1999. 8. 16記

非接触型ICカード公衆電話 普及活動を活発化

  • 電気新聞 1999年(平成11年)7月26日(月) 第23946号 3面
    「非接触型ICカード公衆電話 普及活動を活発化 田村電機 利便性などアピール」
最近、よく利用する東京駅や川崎駅にちょっとかわいい色使いの新しい 「ICカード公衆電話」なるものが置かれるようになった。 ICカードをテレカに応用するのは海外に事例があるようだが、 NTTのは世界で初めての「非接触ICカード」タイプだそうだ。 しかし、残念ながら設置からすでに5ヶ月近く経つのに、 利用している人を見かけたためしはない。 いったいどの程度の人が利用しているのかな、と思っていたら、 会社で回覧されてきた新聞のなかにこの記事を発見した。

すでにICカード公衆電話機自体は 「首都圏をはじめとした大都市の駅や空港などに合計千台程度設置されている」が、 「設置台数が少なすぎるため」 「ユーザー側の利便性がほとんど理解されていないのが実情」。 田村電機製作所は、 「今までは普及促進の仕事はNTTが本来受け持つものとしてきたが、 あまりにも反響が少ないため、 供給メーカーとしても利用法のPRを進めていくことが必要と判断した」 (以上同記事より)とのこと。

まあ、こういう記事がでるということからして、 よほど注目されてないのだろう。それも当然である。 従来の磁気カード式公衆電話だって最近は閑古鳥が鳴いているのだから。

15年ほど前、磁気カード式の公衆電話が初めて登場したころは、 テレホンカードは価格が最低でも500円もして、割引なども一切なかったが、 新しもの好きの筆者(当時高校生)はわくわくしながら1枚を早速購入した。 なんと古き良き時代であったことかと思う。 今どきの高校生は、電子手帳(…かなり古い)、 ポケベル(これももう過去帳入り)を経て、 今やケータイを持ち歩くのが当たり前であるらしい。 そんな現在、「ICカード公衆電話」といわれても、 高校生当時の筆者が磁気テレカに対して感じたような「わくわく」する感じはない。

ICカード公衆電話では、 従来の磁気テレカはもはや使うことができない。 すなわち、 この電話の普及は事実上磁気テレカを捨てる決断なのだが、 そのことに関する意識が関係者に十分だったとはいえないように思われる。 磁気テレカを捨てるのならそれに相応しい新たな利便性が提供されてしかるべきと思うが、 今のところそのようなものは見えてこない。

ICカード公衆電話は2枚のカードを投入できるため、 2枚目のカードに何らかの機能を付加させる提案ができるなど、 いろいろなアプリケーションの可能性があるそうで、 同記事によれば「電話機の画面が大きいことを利用して企業広告を打つ」 「タクシー業界向けに、 あらかじめタクシー会社の短縮ダイヤル番号を記憶させたカードを作り、 さらに電話をかけた場所が把握できる機能を生かして、 無線配車が簡単にできるようにする」などの例が挙げられている。 しかし、この程度では到底従来のカードを捨てる代償とはなり得なかろう。

ICカード電話自体は、 着実に増加しつつあるように見える。 あとは、 利用者がこれを受け入れてくれるかどうかの一点だろう。 読者の皆さんはいかがお考えだろうか。


高木 亮 / TAKAGI, Ryo webmaster@takagi-ryo.ac
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