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1999. 11. 21記

ニューズウィーク・サンデー毎日・週刊朝日

今週は3誌を購入した。 高木は週刊誌等にけっこうお金を使うほうだと思うが、 3誌購入は珍しいと思う。

ニューズウィーク日本版 1999. 11. 24 (14巻45号)

表紙には 「『国民の敵』 オウム狩りに狂奔する日本のヒステリー」 とある。 これに関する記事に限らず、 まるで国内の左翼系の雑誌を見るようである。

オウム弾圧に関しては、 「そうしたヒステリックな対応は、 人権を無視した過剰な弾圧にみえなくもない」 と批判(記事1)。 この他、 規制緩和でアメリカ型 「世界標準」 を追い求める日本に対し、 「犠牲になるのは普通の人々だ」 と警鐘がならされている (記事2)。 東海村の臨界事故についての記事への投稿群 (記事3)では、 「事故に対する『心配のしすぎ』で仕事を休むなら罰則を課す」 とした茨城県内の事例を紹介し、 「日本人はなぜあれほどもたつき、 しかも平然としていられたのか」 と告発を行う茨城県在住のアメリカ人が現れる、 という具合だ。

今回は英語版でなく日本版を読んだ。 日本版だけの記事も相当あると思うし、 英語版でも日本向けに発売しているやつだと本国のと記事が差し替っていたりするようなのだが、 いずれにしても Newsweek はいい意味でも悪い意味でもアメリカの国益を代表する論調を繰り広げる雑誌であると思っている。 そういう点で中立に近いように見える Time 誌よりは、 アメリカの保守層 (特にインテリ的な人に限らない) の考え方一般に近いのかも知れない。

1995年高速増殖炉 「もんじゅ」 の事故 (正しくはレベル0の「事象」)、 ついで1997年東海村再処理工場の火災事故 (これもレベル3の「事象」)、 そして今回のレベル4〜5の「事故」と、 日本原子力産業界で起きる事象や事故の深刻さが2年ごとに深まっている。 あるいは、 いままであれほど議論してきた国旗国歌があっさり法制化されたことに象徴されるように、 記事2にあるような日本のナショナリズムへの傾倒の動きははっきりしている。 それなのに、 それに対応した警戒感の強まりが国内で発生していないようにみえることは、 確かに非常に危ない兆候であるといえるだろう。 アメリカはすでにそれに対し非常に強い警戒感を持っている。 我々国民も自分の国の要注意事象として警戒すべきことなのだろうが…。

なお、 記事4によれば「ポケモン」が大人気だとか。 映画 『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』 が、 公開初日に1010万ドルを売り上げ、 週半ばに公開された映画としては史上4位の記録を作った、 とのこと。 こんなことで溜飲を下げていてはいけないのだが、 日本人としてはとりあえず喜んでおいてよいのだろう。 それにしても…「ニンテンドー恐るべし」。

記事一覧

すべての記事は今号のニューズウィーク日本版から。
  1. 「オウム狩りの危険な熱」, pp. 14-17
  2. フィールド, ノーマ: 「本当にアメリカが手本か」, pp. 46-47
  3. LETTERS(レターズ、投稿ページ), p. 80
  4. PERSPECTIVES(パースペクティヴス), p. 5

サンデー毎日, 1999. 11. 28 (78巻51号)
「『お前、白血病で死ぬぞ』 原発潜入ルポ」

その東海村の事故に関連して、 以上のような表題の記事をサンデー毎日が載せているが、 これは正直なところひどい記事だと思う。 表題にある 「お前、白血病で死ぬぞ」 というのは、 潜入したルポライターが同じ現場で働く作業員がそう喋るのを聞いたということらしいが、 その発言は詳細には次のように記録されている。

「線量アラームの返却カウンターでは、 他社の下請け作業員が互いの放射線量値を見せ合っている。 声の主は30歳ぐらいか。笑いながら言った。 『うわっ、すごいな。お前、白血病で死ぬぞ』」

現場にいる人たちであれば、 放射線を浴びすぎれば白血病などの危険が増すことくらいはわかっている。 そういう意味で、 数字が大きくなった人に対して笑いながらいった程度の、 軽い冗談なのであろう (もちろん実際に浴びた線量によるが、 記事のここまでの内容で判断する限り法律で定められている限度の50ミリシーベルトに遠く及ばない数字である)。 それをこのように大きく取り上げるというのは悪意あってのこととしか思えない。 しかもこの「お前、白血病で死ぬぞ」という言葉、 雑誌の表紙まで飾っているのだから始末におえない。

まあこんなことをいっても無理だと思うが、 このような冷静さを欠く報道はぜひ控えてほしいものだと思う。


週刊朝日, 1999. 11. 26 (104巻52号)
「えっ! あの東大教授に退官後再就職の口がない 理工系2割以上"浪人"」

こちらは少し異なる記事で、 大学に及ぶ変革の波を記した記事。

よく「象牙の搭」と言われる大学だが、 それをめぐる動きも昨今の地殻変動激しい社会から切り離されて存在しているわけにはいかず、 それがめぐりめぐって我々若手研究者にも大いに影響を及ぼしつつある。 特に、 私学に企業の研究者がスピンアウトするケースが非常に増えており、 そのひとつのあおりが今回記事にあるような旧帝大からの教官供給がストップしつつあるという現実であるらしい。

就職前の高木としては、 このような事態に対する論評は控えておいた方がよさそうな気がする(笑)。 ただこれも、 いままで 「右肩上がり」 前提の社会で存在していた 「安定指向」 崩壊のひとつの象徴なのだろう。 それにしても安定を単に不安定にしてそれでよし、 というわけにはいかないと思われるから、 従来の形とは異なる安定システムを速やかに構築することが望まれるが、 現在の東大にそのような速やかな自己改革の能力があるのかどうか。


高木 亮 / TAKAGI, Ryo webmaster@takagi-ryo.ac
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